公開日 2016年06月21日
第221回 遺伝子機能解析部門セミナー
(第341回 細胞工学研究会講演会)
日時:平成28年7月13日(水)午前10:15-12:00
場所:島根大学生物資源科学部1号館2階203室(会議室)
演題1:アグロバクテリウム植物相互作用のシステム生物学
Systems biology of Agrobacterium plant interaction
演者:バーバラ・ホーン氏(名誉教授、生物医学フリードリヒ・ミーシャー研究所)
Dr. Barbara Hohn (Emeritus, Friedrich Miescher Inst. for Biomedical Research)
土壌細菌のAgrobacterium tumefaciensは植物を遺伝的に形質転換させるユニークな機構を持つ。細菌のTi(tumor inducing:腫瘍誘導)プラスミドの一部分は受容する植物細胞に転移し、染色体ゲノムに組み込まれる。細菌遺伝子の発現により、感染細胞は腫瘍のような増殖を示す。
この腫瘍形成機構はモデル植物Arabidopsis thalianaを用いて主に研究が進められ、細菌と植物のどのような遺伝子が細菌DNAの転移と組み込みに必要なのか明らかにされた。T-DNA(転移DNA)はTiプラスミドの一部であり、細菌側の特別な転移装置により、一本鎖DNAの状態で植物側の受容細胞に移動する。‘ビルレンスタンパク質’と呼ばれる特別なタンパク質群はこのT-DNA末端に付着し、あるものは全体に渡って結合する。植物特異的なタンパク質と協調して、ビルレンスタンパク質はT-DNA/タンパク質複合体が核膜孔を通って核内部へ移動するのを可能にしている。しかし、この後の組み込み機構はほんのわずかしか分かっていない。
T-DNA上にコードされている遺伝子群の解析から、腫瘍形成遺伝子を除いた細菌ベクターが開発された。これによって、稔性のある植物に再生しうる形質転換細胞の開発ができるようになった。植物種が異なれば、形質転換能は異なり、いくつかの植物では形質転換を行うことは今でも困難である。形質転換植物の利用は植物遺伝子の機能解析に供されるだけでなく、農業上利用価値の高い穀物を創生する基盤技術でもある。
(第341回 細胞工学研究会講演会)
日時:平成28年7月13日(水)午前10:15-12:00
場所:島根大学生物資源科学部1号館2階203室(会議室)
演題1:アグロバクテリウム植物相互作用のシステム生物学
Systems biology of Agrobacterium plant interaction
演者:バーバラ・ホーン氏(名誉教授、生物医学フリードリヒ・ミーシャー研究所)
Dr. Barbara Hohn (Emeritus, Friedrich Miescher Inst. for Biomedical Research)
土壌細菌のAgrobacterium tumefaciensは植物を遺伝的に形質転換させるユニークな機構を持つ。細菌のTi(tumor inducing:腫瘍誘導)プラスミドの一部分は受容する植物細胞に転移し、染色体ゲノムに組み込まれる。細菌遺伝子の発現により、感染細胞は腫瘍のような増殖を示す。
この腫瘍形成機構はモデル植物Arabidopsis thalianaを用いて主に研究が進められ、細菌と植物のどのような遺伝子が細菌DNAの転移と組み込みに必要なのか明らかにされた。T-DNA(転移DNA)はTiプラスミドの一部であり、細菌側の特別な転移装置により、一本鎖DNAの状態で植物側の受容細胞に移動する。‘ビルレンスタンパク質’と呼ばれる特別なタンパク質群はこのT-DNA末端に付着し、あるものは全体に渡って結合する。植物特異的なタンパク質と協調して、ビルレンスタンパク質はT-DNA/タンパク質複合体が核膜孔を通って核内部へ移動するのを可能にしている。しかし、この後の組み込み機構はほんのわずかしか分かっていない。
T-DNA上にコードされている遺伝子群の解析から、腫瘍形成遺伝子を除いた細菌ベクターが開発された。これによって、稔性のある植物に再生しうる形質転換細胞の開発ができるようになった。植物種が異なれば、形質転換能は異なり、いくつかの植物では形質転換を行うことは今でも困難である。形質転換植物の利用は植物遺伝子の機能解析に供されるだけでなく、農業上利用価値の高い穀物を創生する基盤技術でもある。