公開日 2016年06月21日
第221回 遺伝子機能解析部門セミナー
(第341回 細胞工学研究会講演会)
日時:平成28年7月13日(水)午前10:15-12:00
場所:島根大学生物資源科学部1号館2階203室(会議室)
演題2:科学者の半生:カリフラワー・モザイク・ウイルスとともに
A scientist's life with Cauliflower Mosaic Virus
演者:トーマス・ホーン氏(元フリードリヒ・ミーシャー研究所&バーゼル大学)
Dr. Thomas Hohn (ex Friedrich Miescher Institute and University of Basel)
1980年、妻(バーバラ・ホーン)と一緒に進めて来たバクテリオファージの研究に区切りをつけて、我々は真核生物と植物ウイルスにテーマを変えることにした。我々はカリフラワー・モザイク・ウイルスを選んだ。当時、このウイルスはDNAを持ち、植物細胞質に形成される封入体(inclusion body) に蓄積することが分かっていた。我々はこのゲノムがレトロウイルスのように逆転写酵素によって複製するが、それとは違い、核内にミニ染色体を形成し、核ゲノムに組み込まれないことを確かめた。
しばらくして、我々はウイルスを遺伝子ベクターに改変し、例えば、インターフェロン遺伝子を植物で発現させることに成功した。
その後、ウイルスの酵素や構造タンパク質をコードする7つのオープン・リーディング・フレームの機能を解析した。これらの一つであるtransactivator/viroplasmin (TAV)は多頭の竜のように、封入体マトリックスタンパク質、ウイルスが集合するときの触媒因子、核とのシャトルタンパク質、ポリシストロニックな翻訳のトランスアクチベーター、免疫エフェクター (immune-effector)、そして特に、サイレンシング・サプレッサーとしての機能を持つことが判明した。
ウイルスRNAは複製中間体として働き、驚くべきことではないが、それはポリシストロニックであり、翻訳のときにTAVを必要とする。このことは一旦翻訳が終わっても引き続き翻訳の開始 (reinitiation) を可能にする興味深い機構を示している。さらに、このRNAは非常に複雑なリーダーから始まり、リボゾームはスキャニングするとき、この部分を迂回 (shunt) する。このリーダーからは短いRNAも発現し、このRNAは二本鎖に変換され、莫大な量のsiRNAのもとになる。これらは’おとり (decoy)’としての役割があり、RNAに基づくサイレンシング・サプレッサーで、Argonauteタンパク質の作用をブロックする働きを持つ。
(以上、英文タイトルと英文要旨の和訳:赤間担当)
(第341回 細胞工学研究会講演会)
日時:平成28年7月13日(水)午前10:15-12:00
場所:島根大学生物資源科学部1号館2階203室(会議室)
演題2:科学者の半生:カリフラワー・モザイク・ウイルスとともに
A scientist's life with Cauliflower Mosaic Virus
演者:トーマス・ホーン氏(元フリードリヒ・ミーシャー研究所&バーゼル大学)
Dr. Thomas Hohn (ex Friedrich Miescher Institute and University of Basel)
1980年、妻(バーバラ・ホーン)と一緒に進めて来たバクテリオファージの研究に区切りをつけて、我々は真核生物と植物ウイルスにテーマを変えることにした。我々はカリフラワー・モザイク・ウイルスを選んだ。当時、このウイルスはDNAを持ち、植物細胞質に形成される封入体(inclusion body) に蓄積することが分かっていた。我々はこのゲノムがレトロウイルスのように逆転写酵素によって複製するが、それとは違い、核内にミニ染色体を形成し、核ゲノムに組み込まれないことを確かめた。
しばらくして、我々はウイルスを遺伝子ベクターに改変し、例えば、インターフェロン遺伝子を植物で発現させることに成功した。
その後、ウイルスの酵素や構造タンパク質をコードする7つのオープン・リーディング・フレームの機能を解析した。これらの一つであるtransactivator/viroplasmin (TAV)は多頭の竜のように、封入体マトリックスタンパク質、ウイルスが集合するときの触媒因子、核とのシャトルタンパク質、ポリシストロニックな翻訳のトランスアクチベーター、免疫エフェクター (immune-effector)、そして特に、サイレンシング・サプレッサーとしての機能を持つことが判明した。
ウイルスRNAは複製中間体として働き、驚くべきことではないが、それはポリシストロニックであり、翻訳のときにTAVを必要とする。このことは一旦翻訳が終わっても引き続き翻訳の開始 (reinitiation) を可能にする興味深い機構を示している。さらに、このRNAは非常に複雑なリーダーから始まり、リボゾームはスキャニングするとき、この部分を迂回 (shunt) する。このリーダーからは短いRNAも発現し、このRNAは二本鎖に変換され、莫大な量のsiRNAのもとになる。これらは’おとり (decoy)’としての役割があり、RNAに基づくサイレンシング・サプレッサーで、Argonauteタンパク質の作用をブロックする働きを持つ。
(以上、英文タイトルと英文要旨の和訳:赤間担当)